プレスリリースページ制作のための10のTips
コーポレートサイトの更新作業を任せてもらっていると、プレスリリースのページを作る機会って結構多いのではないでしょうか。僕も自社のサイトはもちろん、運用を任されているクライアントのサイトも含めて、ひと月に数本プレスリリースのページを制作しています。
今回はプレスリリースのページ制作をやっていくなかで「こうしておけばよかった」と思ったことや、「こうやって作るといいよ」と思うことを、基本中の基本からちょっとマニアックなテクニックまで10のTipsとしてまとめてみました。
プレスリリースのページってCMSを利用して、Web制作のプロじゃなく企業のWeb担当者の方が更新することもあると思うんですけど、そんな方たちにこそちょっと目を通してもらうと役立つTipsかもしれません。
ちなみに以下にあげる10のTipsはマーケティング、ユーザビリティ、SEO、サイト運用、マークアップなどいろいろな観点からのものですが、順番は特に深い意味はありません。思いつくままに10個並べただけです。
1. ランディングページへのリンクを貼る
プレスリリースは広告的な効果を期待して行うものがほとんどですが、実際には広告ではありません。あくまでもパブリシティ(メディアに料金を支払わないPR活動)であり企業としての公式文書だから、誇大な表現やひたすら売り文句を並べたようなものを制作すべきではありません(客観的事実に基づいた「日本初」とか「業界初」といった表現はありだけど)。
メディアに取り上げてもらうことを目的にするならば、特にこのことは意識すべきです。「プレスリリース」と銘打ってもメディアが内容をただの「広告」と判断すれば、無料で取り上げてくれる可能性は少なくなりますからね。
とはいえ、製品・イベント発表などは、製品を売るため・イベント参加を呼びかけるために行うわけで、キャッチーな売り文句やビジュアルを使って製品・イベントをアピールしたいと思うのは当然です。だから、 プレスリリースには製品やイベントについての詳細が記載されたセールスページ(ランディングページ)のURLを掲載してリンクさせましょう。 プレスリリースは自社サイトだけではなく、他のメディアやブログなどにも掲載される可能性が高く、製品ページへのリンクを集めることでSEO効果も期待できます。
もちろん、あらかじめランディングページを作ってあることが大前提であり、逆に言えば 最初からランディングページのことまで考えてからプレスリリースを配信しなければダメ です。プレスリリースはあくまでもランディングページへの動線と考えたほうがよいでしょう。
2. URLは日付にしないほうがよい
特にCMSの場合、プレスリリースのURLはリリースの発表日をURLにしがちですけど、僕はあまりリリース日をURLにすることはおすすめしません。
たとえば他社との共同リリースでお互いのページに相互リンクを貼る場合など、あらかじめURLがわかっていたほうがよいケースっていうのがあります。その場合、日付をURLにしてしまうと、発表日が未定の場合はURLがいつまでも暫定のままになってしまってなかなか正式なURLを交換することができません。暫定URLのまま作業すると後で調整が必要になって非常に面倒だし、ミスのもとになります。あと日本時間と海外時間での時差の問題があったりするとわけわかんなくなったり。 リリースの発表日って結構流動的だったりするので、URLを日付にするといろんなところで日付変更にともなう修正が発生する可能性が高い です。どうしても連番でページの名前を付けたいなら、日付よりも単純な通し番号(2008年の10番目のリリースなら、2008-10とか)のほうがよいと思います。
もうひとつはSEO的な観点から。特に意味のない数字の羅列(=日付)よりは、製品名・イベント名などプレスリリース文中に登場する文字列をURLに含めたほうがページの内容を表すよいURLと言えます。プレスリリースに限らず、URLは意味があってなるべく短い文字列にしたほうがよいです。
3. PDFは基本NG。最悪でもリンク先がPDFであることは明示すべき
コーポレートサイトのトップページなどで、プレスリリースの見出しリストをひとつクリックしてみたらPDFが勝手に開いた、っていうのは誰でも経験したことがあるんじゃないでしょうか。リリースページぐらいHTMLで作りましょうよ。
PDFはHTMLに比べたらアクセシブルなドキュメントじゃないから不親切 です。つまりPC環境や視覚障害などによってPDFを見られない人がいるかもしれないということです。アクセシブルじゃないという理由で読んでもらう機会をロスしてしまうのはもったいないです。
制作の都合や時間の都合、いろいろ理由はあるでしょうけど、どうしてもPDFでプレスリリースをアップせざるをえなくなるのは仕方ありません。だけど、最低限そのときは 見出しにリンク先がPDFであることぐらいは書いてあげましょう。 PDFアイコンを付けるとか「PDFファイル:100KB」みたいにリンク周辺に書いてあげるとか。
たとえば、Acrobat(Adobe Reader)を立ち上げるほどメモリに余裕がない状況だってあるわけです。意図せず、突然Acrobatが立ち上がってPCが固まったりしたら・・・。
Adobe Systems Incorporated Permissions and Trademark Guidelines
AdobeのWebサイトでは「Adobe PDF」アイコンや
「Get Adobe Reader」ロゴなどが配布されているのでぜひ活用したい
4. 見出しぐらいは改行位置を考えて
文章の改行位置に妙にこだわるクライアントって結構いたりします。そういう人って印刷の制作経験があるんですかね? 印刷の場合は確かに文字詰めなどで行頭の1文字を前の行に追い込んだりするんですけどね。Webはなかなかそうはいかない。あなたのWindowsのInternet Explorer 6では確かにその位置で改行されますけどね・・・、っていうお話になってしまうからです。
でも、本文はともかく プレスリリースの見出しぐらいは適宜改行を入れて読みやすくしてやりましょう。特に製品名・イベント名や会社名の途中で改行されるような見出しはNGです。 改行位置を決めるには、MS Pゴシックのようなプロポーショナルフォントではなく、メイリオやヒラギノなどの等幅フォントで表示確認をしましょう(つまりWindows VistaやMac OS Xなど)。MS Pゴシック基準で改行を入れてしまうと、メイリオやヒラギノで表示した時に1行に収まらない場合があります。
あと、複数行の見出しになる場合のことを考えると見出しはセンター揃えよりは左揃えがおすすめです。ビジネスドキュメントって見出しをセンター揃えにする人が多いんですけど、なんかセンター揃えって素人っぽいので僕はセンター揃え反対派。
センター揃えの3行見出し
そうしてその臭のうちに潜んでいる彼の誇りと
満足にはかえって気が付かなかった
意味の区切りで改行しようとすると、
センター揃えのテキストは場合によってはバランスが悪く見えることもある
左揃えの3行見出し
そうしてその臭のうちに潜んでいる彼の誇りと
満足にはかえって気が付かなかった
これも決してバランスがよいとは言えないが、センター揃えよりはマシでは?
センター揃えに比べれば左揃えのほうが汎用性が高い
5. トレードマークなどは実体参照で記述すべし
プレスリリースに頻繁に登場するのがレジスターマーク「®」やトレードマーク「™」。「®」を「(R)」と記述したり、トレードマークを次のようなCSS(↓)を使って記述してあるのをよく見かけるんですが、これらは実体参照を使えばCSSを使ったりしなくともきちんと表示されます。
<span style="vertical-align:super">TM</span>
実体参照を使う場合、たとえば「®」は「®」、「™」は「™」というふうに入力すればOKです。HTML4.01で定義されている特殊文字については 特殊文字リファレンス に一覧表が掲載されています。
6. 脚注にもちょっとした気遣いを
プレスリリースの文中に登場する専門用語などに対して(※1)のように脚注を施すケースがあります。本文から少し離れた位置に注についての補足説明があるのが通常ですが、本文から補足説明まであまりに離れている場合は(※1)に補足説明へのページ内リンクを貼ってあげるのも細かな気遣いと言えます。
たとえば、 NEC の2008年12月8日付のプレスリリース 「東京都奥多摩町で遠隔予防医療相談システムの実証実験を開始」 を見ると全部で8つの脚注(注1〜8)に対して補足説明へのページ内リンクが貼られています。このNECのページぐらい脚注とそれに対する補足説明の位置が離れている場合は、ページ内リンクで補足説明の位置を知らせてあげるとよいのではないでしょうか。
7. トップページのリリース一覧はサイト全体の更新頻度の指標
これはプレスリリースのページ自体ではなく、プレスリリースへの動線部分のお話です。
トップページに「最新ニュース一覧」みたいなリストを掲載している企業は多いと思うんですが、それを見るだけでサイトがどのぐらいの頻度で更新されているか一目でわかってしまうと言っても過言ではありません。仮にニュース一覧が他のページの更新とリンクしていなくとも、古いニュースがずっとトップページに掲載されているだけでサイト自体の更新が滞ってるように見えてしまいます。
何が言いたいかというと、 ニュース一覧みたいなリストの作り方はサイトによって変えていくべき ということです。更新頻度の高いサイトの場合は パナソニック のように単純に最新ニュースをリストで並べればよいと思います。
パナソニック
赤枠で囲んだ部分がプレスリリースのリスト。
日付順に10項目表示されている
だけど中小企業の場合は「1年に2〜3回しかプレスリリース更新しないんだよね」っていうのも珍しくないと思うんです。そういう場合は、たとえば アップル や サン のように1行テロップみたいなかたちでリリースへのリンクをデザインしてみるとよいのではないでしょうか。こういうデザインだと、リリースが長いこと更新されていなくてもそれほど情報の古さが目立ちません。
サン・マイクロシステムズ
プレスリリースなどの最新情報はページ中央部に1行で表示されていて
JavaScriptにより一定時間で別の見出しに変わっていく
8. プレスリリースなのかサイトの更新情報なのかをわかりやすく
これもプレスリリースページそのものではなく、ページへの動線部分にまつわるお話です。
トップページの「最新ニュース一覧」には、プレスリリースの他にもサイトの更新情報やプレスには配信しないちょっとしたお知らせなど、いろんなニュースの見出しを新着順にゴチャ混ぜに表示するケースもあると思います。その際は、見出しがプレスリリースなのか、サイトの更新情報なのか、それともただのお知らせなのかをアイコンなどでわかりやすく表示してあげるとよいでしょう。
岡三オンライン証券
岡三オンライン証券トップページの「お知らせ」部分。
「お知らせ」「重要」「プレス」というようにアイコンが付けられているので、
見出しがどんな情報なのかをひと目でわかりやすく把握できる
プレスリリースや更新情報など、頻繁にニュースが更新される大きなサイトの場合は、プレスリリースの新着一覧、サイト更新情報の新着一覧など、一覧自体をカテゴリー分けして表示するとわかりやすいですね。
村田製作所
村田製作所のトップページはタブでニュースの性質を分けている。
プレス向け、ステークホルダー向け、エンドユーザー向けなど、ユーザーの立場に配慮した情報区分といえる
(「トピックス」と「ムラタからのお知らせ」の違いはわかりにくいけど)
9. ページにソーシャルブックマークボタンを設置する
RSS配信はもはや当たり前として、最近日本のニュースサイトやコーポレートサイトでも、はてなブックマークやlivedoorクリップなどのソーシャルブックマークボタンを設置してあるページを見かけるようになりました。 効果的なプレスリリースを行うための11のTips(PRO) – WEBマーケティング ブログ にも書かれていますが、 ソーシャルブックマークへの配慮はもはやユーザビリティと言っていいかもしれません。 「後で」でいいからぜひ読んでくださいという姿勢、大事だと思います。
10. スパム対策:メールアドレスはJavaScriptで読ませてみる
これについては現在のところ実験中で効果のほどは定かでないので10番目の位置付けです。
プレスリリースには通常お問い合わせ先としてメールアドレスを記載するはずです。だけど、Webページ上にメールアドレスを晒すと鬼のようにスパムメールがやってきますよね。
そんなスパム対策としてJavaScriptでメールアドレスを記述する方法があり、実際こういったテクニックを用いてメールアドレスを記載しているコーポレートサイトもいくつか見かけたことがあります。
たとえば、 JavaScriptでMailto収集ロボット対策 (jottings.com) – youmos に紹介されている jottings.com は メールアドレスを暗号化しJavaScriptで復号してブラウザ上に表示する方法なので、一定のスパム対策効果がありそう です。フォームにメールアドレスを入力するだけでJavaScriptのソースコードが生成されるので導入も簡単です。試してみる価値はあるかも。
以上、Web制作者にとっての「プレスリリースページ制作のための10のTips」でした。普段、僕はだいたいこんなことを考えながらプレスリリース(とその周辺)のページを作っています。

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